樹木医師の植物の自己防衛、「アレロパシー」
🙍畑で「アスパラガス」を植えているのですが、収穫量が年々減少しています。何か原
因があるのですか?
😁自らの根からの分泌される「アレロパシー」という物質があります。その物質で自ら
中毒になっている可能性があります。連作障害、立枯病、茎枯病の可能性もありま
す。
🙍「アレロパシー」て何ですか?
😁「アレロパシー」は植物が放出する、または分泌する化学物質が異種、または同種の
植物の発芽阻害や成長阻害をおこす現象です。
🙍難しすぎて、よくわかりません。
😁人間や動物、昆虫などは、身の危険を感じればその場から逃げることができますが、
植物は一度根を張ればその場所から動くことができません。
🙍植物は黙って我慢するの?
😁葉を食べる昆虫、毛虫、病原菌などの敵の襲来を、「アレロパシー」という、自己防
衛の武器で、適から身を守っいます。
😁日本では「他感作用」と訳されます。その作用物質は「他感物質」「他感作用物質」
と呼ばれます。
🙍植物凄い!! 「アレロパシー」の事がもっと知りたくなりました。
😁1937年、アレロパシーは、ドイツの植物学者の「モーリッシュ」によって、ギリシャ語のallelo(相互の)とpatheia(被害)を用いてつくられた造語です。
🙍また難しくなりました。
😁雑草の「セイタカアワダチソウ」知っていますか?
🙍黄色の花を一面に咲いているのをよく見かけます。
😁「セイタカアワダチソウ」は、地下茎から「ポリアセチレン化合物」である他感物質
(シスーデヒドロマトリカリアエステル)を分泌し、ほかの植物の発芽、成長を抑え繁
殖する。
😁他感物質は外から根を伸ばしてくる侵入者を抑えるだけではなく、自分のテリトリー
を広げるための強力な武器です。
😁1977年「セイタカアワダチソウ」は日本研究者によって、日本初ののアレロパシー
の実験に使われ、日本の植物で初めてアレロパシーが認められました。
🙍「セイタカアワダチソウ」は外来種ですよね。そんな強力な武器を持っていたら日本
全土が「セイタカアワダチソウ」になってしまうんですか?
😁北アメリカ原産で、日本のでは切り花用の観賞植物として明治末期に持ち込まれまし
た。歴史としては最近とみなすのか、ずいぶん昔とするかは別として。
😁河原や空き地で「セイタカアワダチソウ」はとススキ」などの在来種が競合します。
😁根からアレロパシー物質をだし、ススキの生育を阻害するが、自身の種子の発芽も阻
害するために、最終的にはススキに負けましす。
🙍アレロパシーの協力な武器ってたいしたことが無いですね。
😁北米では「ススキ」の侵略的外来種として猛威をふるっています。「セイタカアワダ
チソウ」が日本に侵入した逆の経路ですね。
🙍「セイタカアワダチソウ」以外でもアレロパシーを出す植物はありますか?
😁樹木でもアレロパシーを出す例は多いです。クルミの1種「クロクルミ」はその根か
ら「テルペン類」の他感物質「ユグロン」を分泌し、根の張っている範囲で
他の植物の繁殖を抑え、自身の周辺に裸地をつくります。
😁コーヒーの木の根に含まれる「カフェイン」「ポリフェノール性化合物」は雑草の成
長を抑えます。
🙍植物の根から出すんですね。
😁芳香性灌木のヨモギ属は葉や茎から大気中に放出された揮発性成分が地中に蓄積され
てアレロパシーを起こす例もあります。
😁ユーカリと同じフトモモ科のメラルーカ属樹種もアレロパシーをもち、葉から揮発性
成分を放出します。
😁イチジクやモモは落葉や枯死した植物の根、樹皮の成分が分解されて他感物質として
作用することもあります。
😁これらを植えていた場所に苗を植えると「忌地現象」あるいは「連作障害」を起こし
ます。
😁「アメリカスズカケノキ」は雨で葉の成分が溶け出し、流れ落ちる蓄積されたアレロ
パシーを起こします。
🙍「コーヒー」が草抑えに効果があるんですね。
😁「コーヒー」だけではありません。アレロパシーは研究が進められています。果樹、野菜の栽培時の雑草抑え、水田眭畔の雑草抑えなど、色々活用できます。
まとめ
😁アレロパシーによる安全性の高い新農薬の開発で雑草、病虫害防除、連作障害を緩和
する農法として多くの研究者が研究をしています。