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樹木医師の生物農薬、知っていますか?これからの農業はスマートになります

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近年、農薬に頼らずに作物を作る無農薬野菜が人気を集めていますが、家庭菜園程の栽培なら十分に可能ですが、野菜などを大量に栽培している農家は、無農薬で大量に野菜を栽培することは不可能だと言ってもよいでしょう。生物農薬は化学農薬を使用せずに野菜などを栽培することができます。「無農薬で生産した野菜です」と看板をあげて、野菜などを大量に生産している農家の強い味方となっています。施設栽培のトマト、ナス、キュウリ、イチゴなどの栽培に利用されています。

昆虫や微生物を生きたままの状態で農薬として利用することを「生物農薬」といいます。化学農薬は環境への残留性が大きく、人間への安全性が低く、毒性を有するものがあります。生物農薬は生物由来の物質を有効成分としているので、環境への残留性は少なく、人間への安全性が高いのが特徴です。 

 

【微生物農薬

土壌中などに存在する膨大な数の微生物のうち、病原菌から植物を守る微生物や害虫から植物を守る微生物を選び、生きたままで使いやすくした製剤をいいます。病原菌が付く場所を先に占領したり、植物に感染が起こらないようにしたり、害虫に寄生して殺したりします。環境への残留性は少なく、人間への安全性が高いのが特徴です。農林水産大臣による農薬として登録を受けたものです。農薬として散布回数にカウントされませんので、無農薬で生産した野菜です。

 

【天敵農薬】

天敵とは、ある生物に対して食物連鎖の上位にあって、寄生者や捕食者として働く生物を指します。その性質を防除に利用したのが天敵農薬です。「オンシツツヤコバチ」は施設栽培の野菜類に付く害虫「オンシツコナジラミ」に寄生します。「ミヤコカブリダニ」は施設栽培の野菜類に付く害虫「ハダニ類」を捕食します。自然界にもともと存在する天敵を大量に増殖して製品化されています。農薬として登録された製品を、作物の生産者が購入して施設(ビニールハウス)放飼いして利用します。環境への残留性は少なく、人間への安全性が高いのが特徴です。農薬として散布回数にカウントされませんので、無農薬で生産した野菜です。

 

【フェロモン剤】

昆虫は、交尾のために自分の居場所を知らせるために性フェロモンをだします。雄成虫は雌成虫が分泌する性フェロモンをたどって雌成虫を探し出し、交尾します。性フェロモンを科学的に合成し、製剤化したのがフェロモン剤です。フェロモン剤には、交信を混乱させて交尾を邪魔するタイプと、雄成虫を大量に誘い出し、捕まえて殺すタイプがあります。フェロモン剤は、狙った虫だけに効く、少ない量で効く、毒性がほとんど無いのが特徴です。特に、狙った虫だけに効きということは、これまでの農薬散布で害虫以外の生物や昆虫なども多く殺してきましたが、フェロモン剤は生態系に悪影響を及ぼすことが少なくなり、環境にやさしく、人間への安全性が高い防除法といえます。現在実用化されているフェロモン剤は、ハマキムシやモモシンクイガなどの害虫を対象とした数種類があります。

 

まとめ

農薬に頼らずに農産物を作るのはとても大変ですが、これからの農業はスマートに変わっていくと思います。