樹木医師のアジサイのつぎ木
梅雨時期に咲く花として親しまれています。アジサイは、ガクアジサイから変化した園芸品種です。ガクアジサイは中央に種子を結ぶ両性花があり、周辺部に飾り花がつきます。花全体が飾り花となったのがアジサイです。これが欧米に渡って品種改良され、逆輸入されたのがハイドランジアです。いずれも多くの園芸品種があります。
【アジサイのさし木】
2月下旬~3月の春ざしと6月~8月上旬の夏ざしがあります。春ざしには充実した前年枝を、夏ざしには節間の詰まった充実した新梢を用います。2~3節のところで切ってさし穂にします。夏ざしは上の葉4~5枚を残しておきます。1時間くらい水あげして、さし床にさします。さしたあとは半日陰に置き乾かさないように水やりをします。
春ざしした場合は、霜に当たらいように注意します。新芽が動き、発根してきたら薄い液肥をを施し、翌春に鉢上げします。
【さし穂の選び方】
さし木では、切り取られた茎や枝など、まったく根のない部分から発根し、芽を伸ばしてひとつの個体に育ちます。いわばひとつのさいせいです。したがって、さし木を成功させるには再生能力、発根能力が大きいさし穂を選びます。日当たりの良い場所で、よく生育した枝を選びましょう。1本の枝でも、新梢では先端部を、休眠枝では先端と基部を除く中間部を用います。一般的には古い木より、若い木から採穂したほうがよく発根します。
節間がつまり、充実したものを選びます。徒長して弱々しいものは用いません。
基部は発芽しにくい場合があるので用いません。
さし穂には、充実した部分をつかうようにします。15~20㎝の長さに切り分けます。
基部を、よく切れるナイフなどで斜めに切り戻しします。
さし穂には、剪定で切り落とした枝などを利用できます。
上の葉3~5枚を残して、下葉は取り除きます。
残した葉が多いときや大きいときは、半分ぐらいに切り落とします。
調整したさし穂は、乾かさないようにすぐに水につけ、十分に水あげします。1時間くらいは水あげします。
さし穂は深めにさしたほうが、枝(茎)からの水の蒸散が少ないです。葉がある場合は葉が触れ合う程度、ない場合は2~3㎝の間隔でさします。
【さし床用の混合用土】
用土は通気性、排水性、保水性がよく、雑菌のない清潔な土を選びます。一般的には保水性のよい赤玉土や、通気性と排水性のよい鹿沼土などが使われます。ほかに、通気性と排水性のよい川砂、保水性と通気性のよいバーミキュライト、パーライトなどを混ぜた混合土を用います。容器は特に選びません。
【さし木の管理】
さし木後は十分に水やりをして、明るい日陰に置きます。水やりは、さし穂がしおれない程度に行います。
植物の種類にもよりますが10日~1カ月くらいで発根してきます。目安は芽が動きはじめたころです。発根してきたら徐々に日に当てるようにします。
翌春の2~3月に移植します。
【手入れの仕方】
植えつけ、移植は2月下旬から3月が適期です。植え場所は半日陰で、腐植質に富む肥沃な土が適しています。冬の寒風が防げるところが理想です。
剪定は、花が終わったらできるだけ早く行います。花芽は新梢の頂部2~3節目に、9~10月上旬につくられます。