庭のお医者さんに教えてもらう

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樹木医師の盆栽に魅せられて、其ノ七

初めに

「月の法善寺横丁」という名曲、知っています?

♪包丁一本さらしにまいて旅へ出るのも 板場の修業♪

私は造園業を生業としています。高校卒業後、奈良の造園業社、鳥取の造園業社、京都の造園業社を経て大阪で独立しました。4年前に、両親の故郷鳥取県に訳あって移住してきました。私が駆け出しのころ、職人の先輩が多くの技術を身につけるため「数ヶ所の事業所で仕業をしろ」と、自分のためになると「月の法善寺横丁」の歌詞をつかい教えてくれました。

 

植木の剪定は、業社ごとに違い、県単位になると大きく違います。極端な話、ある業社が良いと思う剪定方法も、業社が変われば禁じ手になることもあります。とても不思議な世界ですね。庭づくりの技術は、造園技能士という国家資格があり全国共通なのに対して、植木の剪定は国家資格はありません。樹木の剪定は全国一律では、ないという事が大きな理由でしょう。

 

松の剪定は、造園業社や植木屋の花形で、職人誰もが人一倍「松」の剪定に対してプライドを持っています。職人の多くが「私が」「俺が」松の剪定や知識に一番で、誰にも負けないと思っています。でも、その判断は自己的か、お客様の判断によるものが多く。多くが7対3で自己中心的な考えかたがほとんどです。「松くい虫に」で枯れた時も、「松に元気がない」時も、「地球の温暖化」や「害虫」のせいにして職人は葉巧み位に言い逃れします。(その様な松の症状は、少なからず間違った剪定方法をおこなった事がが大きく影響しています)つまり間違った「黒松」の剪定が全国的に多く見られるのが現状です。

そんな思いの中、昔から「松の盆栽」を極める事がイコール「松のエキスパート」と思っていました。

 

日本全国「黒松の盆栽」は統一された判断基準があり、「美」がが統一されいます。県ごとの剪定の適期に違いこそありますが、展覧会などで正しくと評価されます。

植木の剪定で全国大会がありますか?

 

♪包丁一本さらしにまいて旅へ出るのも 板場の修業♪ この言葉を思い出し、新たなジャンル「盆栽」を始めました。

 

4年前に、鳥取県に移住し海岸で自生している黒松を鉢に植えた盆栽4年生の新人です。

黒松の盆栽に魅せられ、日々図書館で「盆栽」の書籍を借りて読んでいる程度の、新人ですが、現在頭の中の多くを「盆栽」が占めています。

盆栽4年生の新人の日記です。

お手本にならない日記ですが、お付き合いお願いします。

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9月19日 鉢に植えました。

上の写真の松は、3年前の5月に海岸で採取してきた黒松です。

早く幹を太らせるために畑で管理していました。

3年前にくらべ、かなり幹は大きくなりましたが、芽切り作業をおこなっていますので高さは変わっていません。

右の黒松は約40㎝、左の黒松は約30㎝です。

樹齢は5年生と、私は勝手に思っています。
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3年前、海岸でふと目にとまった黒松。

スコップや何も持っていなかったので手で引き抜きました。砂地でしたので簡単に引き抜けましたが、肝心な根は鳥の足のような荒れた状態でした。

立根だけをハサミで切り戻し畑に植えました。

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3年畑で管理したかいあって鳥の足のような根も、しっかり四方に根が伸びています。

来年の2月頃に鉢植えする予定をしていたのですが、来年の5月頃に「取り木」をおこないたいので予定変更です。時期的に、11月にはいってからの休眠期が植え付けの良い時期なのでしょうが、早めに根を切っておくと来年の大きな改作に負担が少なくてすむでしょうし、また、9月に入り30℃を超える日も無くなり。休眠期までに切った根も動くでしょう。

最近、この畑はイノシシやシカがでます。畑に獣除けをしていないので、それも理由の一つです。シカが黒松の苗木に悪さするって知っています?

京都での修業時代に山林に黒松を植栽工事した事がありますが、その時、植栽した黒松の苗木は「スーパー黒松」と名前が付いた商品で松くい虫に強く、シカにかじられないように木がケースに入っていました。黒松はケースのまま植栽したのを覚えています。

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昨日、初めての「ジンづくり」をおこなったのですが、本によると「ジン」に石灰硫黄合剤をぬる作業は3か月程たってからおこなうという事です。

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 上の写真の黒松も、初めの黒松と同様でスコップで掘らず、手で引き抜きましたので、鳥の足のような根でしたが、良い根がたくさんでています。

手で引き抜き育ったのは、木が若いのと時期がよかったのでしょうね。

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スコップで傷付けた根や強く伸びた根を切り戻しし、細かな「ひげ根」だけ残して鉢に植えました。用土は、赤玉土を七:砂三で植えつけました。

2本の黒松は、どちらも「一の枝」が高い位置にあるので、来年は指で示したあたりに「取り木」をおこないたいと思います。植木屋として、数回、庭木の広葉樹に「つぎ木」作業はした事がありますが、「取り木」作業は初めてになります。

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少し枝先が「赤枯れ」していますので「ダコニール」500倍液を散布しました。冬期前に「石灰硫黄合剤」を散布する予定です。