庭のお医者さんに教えてもらう

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樹木医師の盆栽に魅せられて、其ノ九 「初めての松ぼっくりの採取」

初めに

「月の法善寺横丁」という名曲、知っています?

♪包丁一本さらしにまいて旅へ出るのも 板場の修業♪

私は造園業を生業としています。高校卒業後、奈良の造園業社、鳥取の造園業社、京都の造園業社を経て大阪で独立しました。4年前に、両親の故郷鳥取県に訳あって移住してきました。私が駆け出しのころ、職人の先輩が多くの技術を身につけるため「数ヶ所の事業所で仕業をしろ」と、自分のためになると「月の法善寺横丁」の歌詞をつかい教えてくれました。

 

植木の剪定は、業社ごとに違い、県単位になると大きく違います。極端な話、ある業社が良いと思う剪定方法も、業社が変われば禁じ手になることもあります。とても不思議な世界ですね。庭づくりの技術は、造園技能士という国家資格があり全国共通なのに対して、植木の剪定は国家資格はありません。樹木の剪定は全国一律では、ないという事が大きな理由でしょう。

 

松の剪定は、造園業社や植木屋の花形で、職人誰もが人一倍「松」の剪定に対してプライドを持っています。職人の多くが「私が」「俺が」松の剪定や知識に一番で、誰にも負けないと思っています。でも、その判断は自己的か、お客様の判断によるものが多く。多くが7対3で自己中心的な考えかたがほとんどです。「松くい虫に」で枯れた時も、「松に元気がない」時も、「地球の温暖化」や「害虫」のせいにして職人は葉巧み位に言い逃れします。(その様な松の症状は、少なからず間違った剪定方法をおこなった事がが大きく影響しています)つまり間違った「黒松」の剪定が全国的に多く見られるのが現状です。

そんな思いの中、昔から「松の盆栽」を極める事がイコール「松のエキスパート」と思っていました。

 

日本全国「黒松の盆栽」は統一された判断基準があり、「美」がが統一されいます。県ごとの剪定の適期に違いこそありますが、展覧会などで正しくと評価されます。

植木の剪定で全国大会がありますか?

 

♪包丁一本さらしにまいて旅へ出るのも 板場の修業♪ この言葉を思い出し、新たなジャンル「盆栽」を始めました。

 

4年前に、鳥取県に移住し海岸で自生している黒松を鉢に植えた盆栽4年生の新人です。

黒松の盆栽に魅せられ、日々図書館で「盆栽」の書籍を借りて読んでいる程度の、新人ですが、現在頭の中の多くを「盆栽」が占めています。

盆栽4年生の新人の日記です。

お手本にならない日記ですが、お付き合いお願いします。

 

令和2年9月27日

海と山に黒松と赤松の松ぼっくりを採取しに行きました。

本によると、松ぼっくりを採取する親木は、枝葉がよく茂った樹齢30~50くらいの若木が良いとのこと。また、日のよく当たる南側の枝から採取する。時期は9月末から10月下旬頃、松ぼっくりが、緑色から茶色になる頃と記されています。

今年は、春ごろから松ぼっくりを採取し、令和3年の春には種子を蒔こうと計画していましたので、目ぼしい黒松と赤松にめを付けていました。

住んでいる近くにお目当てとする親木があるのも、田舎暮らしの良い所です。

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鳥取県海岸の黒松

数ある黒松の木から元気が良い木を選んで採取。

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黒松の松ぼっくり

子供の頃は投げて遊んでいましたが、松ぼっくりを採取するのは初めてのことです。

庭木の松では、毎年剪定していると松ぼっくりは生りませんが、カキやウメなどと一緒で2年目の枝に実が生るのでしょうか?

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鳥取県山中の赤松

海の次は山で赤松の松ぼっくり

私が、住むところは歩いて数分で海、山がある環境です。

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赤松の松ぼっくり

数ある赤松の木から元気が良い木を選んで採取。

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初めての採取です。

ひとつの松ぼっくりから、どれくらいの種子が穫れるかもわかりませんし、どの様な種かも見たことがありません。

というか、松ぼっくりが実なのか種なのかすら、つい最近まで考えたことが無かったのが事実です。

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いろいろな、書物を読みましたが、採取してきた松ぼっくりを3~5日天日干しするとか、箱などにヤツデなどの葉を敷いて通風の良い所に置くとか、筆者よってまちまちです。

とりあえず数日保存していると、かさが開いてくるということは分かりました。

ということで、雨がしのげ比較的明るく暖かい3面トタンの小屋で保存することに。

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10月1日の松ぼっくり

3日ほどで早い物は色が茶色に変わり、かさが開いてきました。
松ぼっくりを採取した時に、黒松、赤松の松ぼっくりを一緒にしたのを今となっては後悔。多分ちっさい松ぼっくりが赤松でしょう。芽が出てからの楽しめとなってしまいました。

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10月5日の松ぼっくり

本によると、松ぼっくりが開いたら手でもんで羽をとり種子を瓶などで入れて保存とあります。

「羽」とは何?半信半疑で、開いた松ぼっくりを手でもんでみました。数個種らしきものが落ちてきました。

最初はどこに種が隠れていたのかさえ分かりません。「羽」というのはすぐにわかりました。モミジの種に似た、「アーモンド」の薄皮のような「羽」に1mmほどの茶色い種が包まれています。

なるほど、この羽によって風によって種子を遠くに飛ばすのですね。少し感動です。

肝心の種は「ウロコ」のようなかさのつけ根についています。「ウロコ」ようなかさ一枚一枚に種は無く、松ぼっくりの真ん中あたりのかさについているようです。上の方や尖った下の方には種子が無いように思われます。

4っつの松ぼっくりから採取できた種子は10粒ほどでした。

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本によると、保存方法もまちまちで、私は、小袋に種子を入れて冷蔵庫内で保存することにします。

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10月9日まだ開かない松ぼっくり

小さい松ぼっくりは比較的に早く開きましたが、大きいサイズはなかなか開きません。

開いたら同じく冷蔵庫内で保存したいと思います。

来春が待ち遠しいです。

最後に

針葉樹は樹木の中でも古代から存在している種類だとは聞いてましたが、針葉樹の松はこのようにして子孫を残してきたのですね。少し勉強になりました。