樹木医師の盆栽に魅せられて、其ノ十四 初めての松の取り木と接ぎ木
はじめに
前回接ぎ木した黒松の盆栽に今回は、上部に取り木を行いました。
その前に前回接ぎ木をおこなった現在の様子を紹介します。
3月21日撮影
2月26日に接ぎ木を行った部分です。本によると半月ほどで冬芽が上に持ち上がり始めるので、袋を切り徐々に外気に慣らすとあります。
3月21日約一カ月経過、曇って袋の中がよくわかりませんが、袋の端を2ヶ所カットしました。
冬目はこれといった変化は確認できませんでした。
3月23日撮影
今年は3月頃から気温が高めで袋の中の冬芽が湿気と高温で腐ってしまわないか心配になり、袋の端をハサミで切った2日後に袋を全部とりました。
ミズゴケはまだ取り外す勇気がなかったでそのままに。
写真の下からの二つ目の接ぎ木した冬目。後ろの曲げた枝と丁度重なり合って確認しにくいですが少し上に持ち上がり始めています。
4月16日撮影
ほぼ前回と同じ。冬芽は変化は確認できません。松葉の色が赤くなってきました。心配になり本を読み返すと接ぎ穂の伸びに合わせて上部を切りつめるとありますが・・・
5月4日撮影
冬芽が少しふっくらしてかなり持ち上がり始めました。
5月4日撮影
こちらの松もあきらかに変化が確認できます。
5月4日撮影
こちらの松は大きな変化なし。
5月4日撮影
こちらの松は大きな変化は確認できません。松葉の色が気になります。
4月28日撮影
本題の取り木。
松柏類の取り木の時期は3月中旬~4月下旬が最適期とのこと。(本によって多少違があります)
使う道具と材料です。
取り木の方法は「そぎ上げ法」「針金しばり法」「むき取法」がありますが、成功率も「そぎ上げ法」「針金しばり法」「むき取法」の順番とのこと。
初めての取り木、失敗すれば取り木をかけた箇所は台無しとなります。今回は、一番簡単で成功率も高い「針金しばり法」を多くおこない、また、どの本でも紹介されている「むき取法」もチャレンジしました。
4月28日撮影
針金で固く結わえます。結え方は本によって多少方法が違います。要は針金を結わえた枝が人間で言うところのうっ血状態になり肥大化し針金の上のところから根を出すということ。食い込むほど強く針金を結わえた方が成功率が高いようです。
強く結わえたら、針金が見えなくなるまで食い込みました。こんなにも食い込ませてよいのか・・・
針金を結え終わったら、水に浸したミズゴケをあてがいます。
ミズゴケは多めにあてがいました。
ミズゴケの上から穴あきビニール袋で包みます。本では上部をひもで軽く結わえ、下部を固く結わえとありますが、写真の枝のようにほぼ平行な枝なので上も下もありません。両方を固く結わえ、爪楊枝で下側に多く穴をあけ水がたまらないようにしました。
この松は、合計4ヶ所「針金しばり法」をおこないました。
こちらの松は上部一か所「針金しばり法」。
上の写真松は「むき取法」をおこないました。
本によると木質部まで環状にはく皮します、とありますが・・・おそるおそる、よく切れる小刀で上と下3㎝ほど間隔をあけて幹の周りを一周切れ込みを入れ、上と下の切れ込みをつなぐように、縦に切れ込みを入れました。
もっと難しいと思っていましたが、見事につるっとむけました。この時期は樹木はさかんに水揚げをおこなっていてむけやすくなっていることを思い出しました。
修業時代にクレーンなどで樹木を釣り上げたる時、吊りバンドがしっかりとしまっていなかったら、親方に皮がずるっとむけるからしっかりとバンドをしめろと怒られたものです。
こんな感じにきれいにむけました。
この松は一か所。これで作業終了。
まとめ
取り木ヶ所は合計6ヶ所、全部失敗ということはいくらなんでもないでしょう。と信じ、取り木ヶ所にも水をかけるようにしたいと思います。また、接ぎ木ヶ所は全部で10ヶ所です。5月4日時点では2ヶ所は確実に成功したと思います。取り木と接ぎ木の今後もブログで紹介していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。