樹木医師が教える、縁起の良い庭木
はじめに
太古より日本人は古い樹木や巨木には、精霊や神様が
宿ると考えられ、全国至る所にある『御神木』『神の
宿り木』を大切にしてきました。
『御神木』『神の宿り木』から、御利益が貰えるとし
て、最近、パワースポット巡りが人気ですが、庭によ
く植栽される庭木にも、縁起の良い樹木があり、古く
から植えられています。
ナンテン
ナンテンの花・実
初夏に白い花を咲かせる。実は赤、白ナンテンもあり
ます。
『私の愛は増すばかり』『良い家
庭』です。花言葉の『私の愛は増すばかり』は、初夏
に白い花の咲くいた後、その実が晩秋から初冬にかけ
て真っ赤に色ずく姿にちなむといわれます。
ナンテンの誕生花
12月5日・12月8日
ナンテンの名の由来
「難転」難を転ずる。に通じる事から
昔から災難除けや縁起の良い木とされています。
『難を転じて福となす』とし、お正月の飾り付けとし
されています。
庭木の楽しみ方
邪気の侵入を防ぐとして、表鬼門にヒイラギを植え、
ナンテンのを裏鬼門に植えるとよい。
センリョウ
センリョウの花・実
6~9月に黄色花を咲かせる。実がなるのは10~12月
です。
センリョウの花言葉
『利益』『祝福』『富』『財産』『恵まれた才能』『可
憐』です。沢山の実を付ける姿が豊かな印象を与えるこ
とにちなみます。『恵まれた才能』は素質のの高さ、
『可憐』は端正な見た目をあらわします。
センリョウの誕生花
1月3日・1月11日・1月13日・12月17日・12月26日・
12月28日・12月29日・12月31日
センリョウの名の由来
センリョウ(千両)の由来は、赤い実がなるマンリョウ(万
両)に似ていることから、千両。赤い実が百金にも勝る美
しさから千両という説があります。
庭木の楽しみ方
古くから縁起の良い木として、お寺、神社、庭、鉢植え
としても親しまれてきた常緑小低木。西日が当たらない
場所に植えれば光沢のある緑の葉と、真っ赤な実の美し
い、お正月に欠かせない、縁起物です。
マンリョウ
マンリョウの花・実
7月頃に白い花を咲かせる。11月頃に赤い実が熟します。
他にも、 キミノマンリョウ(黄実の万両) シロミノマン
リョウ(白実の万両)などもあります。
『寿ぎ』『財産』『金満家』『徳のある人』『慶祝』『陰徳』
「寿ぎ」という花言葉は、お正月の床飾りなどに用いら
れる赤い実が縁起がいいとしてつけられました。『金満家』
は、11月頃に熟した赤い実が、翌年の5月~6月頃まで落ち
ずにいる様をあらしているとされます。
マンリョウの誕生花
1月2日・1月3日・1月11日・1月23日・11月6日・12月27日
マンリョウの名の由来
センリョウ(千両)同様にお金の名が付きます。赤い実はセン
リョウ(千両)以上に美しいとされ、マンリョウ(万両)と名前が
付いたという説があります
庭木の楽しみ方
お金の名が付くので、商売繁盛の縁起の良い木として古くか
ら、お寺、神社、庭、鉢植えとしても親しまれてきた常緑小
低木。直射日光が当たらない半日陰を好む。センリョウ同様
に、真っ赤な実の美しい、お正月に欠かせない、縁起物です。
クロガネモチ
クロガネモチの花・実
5月~6月頃に白色の花を咲かせる。10月頃に赤い実が熟し
ます。
クロガネモチの花言葉
『魅力』『寛容』『執着』『仕掛け』
『仕掛け』という花言葉は、樹皮から鳥を捕まえる為のトリモ
チがとれる事が由来とされています。
クロガネモチの誕生花
12月19日
クロガネモチの名の由来
クロガネモチ(黒鉄黐)は黒みを帯びた枝葉と、樹皮から鳥を捕ま
える為のトリモチがとれる事から名付けられました。
庭木の楽しみ方
日向を好むが、半日陰でも生育でき、クロガネモチを「苦労が
無く、金持ち」と語呂合わせして、縁起の良い樹木として今も
昔も人気があります。真っ赤実が冬の庭を彩ります。雌株だけ
を植栽しても多くの実を付けるのでシンボルツリーとして植え
られます。
キンカン
キンカンの花・実
5月頃、7月~8月頃、10月頃に白色の花を繰り返し咲かしま
す。実は11月下旬頃から果実が成熟してきます。
『思い出』『感謝』
『思い出』という花言葉は、小さい頃に風邪を引いたときに金
柑の甘露煮を食べさせてもらった『思い出』が由来と考えられ
る。
キンカンの誕生花
1月29日
キンカンの名の由来
果実が金色の柑橘類から、キンカン(金柑)と考えられます。
庭木の楽しみ方
日向を好むので、日当たり良好な場所に地植え、鉢植えでも良い
です。金色(黄色)の実が幸運を招くものとしてよく植えられます。
また、お正月にキンカンノの鉢植えなども縁起物としてよく利用
されていいます。中国で古くから幸運、大成成就、子孫繁栄を約
束する縁起の良い樹木とされています。黄色実がなる樹木は西側
に植えると良いとされる。
ウメ
ウメの花・実
2月~3月終頃に赤色、白色、桃色(ピンク色)の花を咲かせる。
6月頃に青い実がほんのり色ずいてくる。
ウメの全体の花言葉
「高潔」「忠実」「忍耐」
追って空を飛んだという梅の伝説から、この花言葉が付いたと
考えられます。
紅梅の花言葉
『優美』
『優美』は、淡く紅色の花が艶やかな女性のような上品な美しさ
から、この花言葉が付いたと考えられます。
松
松の花・実
雄花と雌花があり 4月頃~5月頃に開花。雌花は受粉された後「ま
つかさ」になり、1年半かけて種子ができます。
松の花言葉
『不老長寿』『永遠の若さ』『勇敢』『向上心』『同情』『慈悲』
付いたと考えられます。
『永遠の若さ』の花言葉は、緑の葉が、一年中青々としているさ
まを、いつまでも若々しいことが、この花言葉が付いたと考えら
れます。
『勇敢』の花言葉は、松が厳しい冬、枝や葉に雪が積もってもた
くましく立っているさまが、この花言葉が付いたと考えられます。
松の誕生花
1月1日・1月3日・1月19日・11月14日・12月12日・12月14日
松の名前の由来
生末を待つの「マツ」。聖霊が木に宿るのを待つの「マツ」。二股
の松葉が股に分かれることから「股」転じて「マツ」。など諸説あ
ります。
庭木の楽しみ方
竹
竹の花・実
約60年~120年に一度、開花して一斉に枯れる。花後実を付
ける。
竹の花言葉
『節度』『節操のある』
『節度』『節操のある』の花言葉は、竹が節を持つことから、こ
の花言葉が付いたと考えられます。
竹の誕生花
1月2日
竹の名の由来
竹が高く伸びた姿から、「高き木」「丈がある」が転じて「タケ」
と呼ばれるようになったなど、諸説あります。
庭木の楽しみ方
日向を好むが、耐陰性もあります。「大名竹」「黒竹」「布袋竹」
などの比較的背が低い種類の竹を古く庭に取り入れられています。
真っ直ぐに伸びる姿が清潔で清清しく、そのしなやかさや冬に耐え
る姿が、春の生命力などから、古来神聖なものとして神事や縁起物
として利用されてきた。また、正月に門松を立て、年神を家に迎え
ための依代という意味合いがある。「松は千歳を契り、竹は万代を
契る」と言われ、松と竹で神の依代の永遠を願うとされる。
モモ
モモの花・実
3月~4月頃にピンク色の花を咲かせる。7月~8月頃に実を熟す。
モモの花言葉
『私はあなたのとりこ』『天下無敵』『気立ての良さ』
『私はあなたのとりこ』の花言葉は、古くからモモが女性の性の
シンボルとさることから、この花言葉が付いたと考えられます。
モモの誕生花
3月3日・3月5日・4月12日
モモの名の由来
一本の木から沢山の実を付けることから「百(モモ)」。実の色が
燃えるような赤「燃実(もえみ)」が転じて「モモ」など諸説あり
ます。
庭木の楽しみ方
日向を好むます。「枝垂れモモ」や「樹形が箒型」になる種類が
狭い庭などにシンボルツリーとして植えられます。「古事記」に
は、モモの実をぶつけて邪気を払うという記載があり、病気を防
ぎ、女の子の成長を願って花を飾る「桃の節句」の由来です。
ツツジ
ツツジの花・実
種類のによって違いがありますが、4月~6月頃に花を咲かせま
す。その後に実を付けます。
『節度』『慎み』
の形をしています。その控えめな花の特徴をとって、この花言葉
が付いたと考えられます。
『恋の喜び』
『恋の喜び』の花言葉は、葉が見えないぐらいに赤い花を付ける
様子が、情熱的な恋をする女性のを連想して、この花言葉が付い
たと考えられます。
『初恋』
『初恋』の花言葉は、純白の花が清らかな様子から、初めての恋
心を連想して、この花言葉が付いたと考えられます。
ツツジの誕生花
5月4日・6月7日
ツツジの名の由来
花の形が筒状になっていることから、「筒(ツツ)」。花が次々と
咲く様子から「続き(ツツギ)」が転じて「ツツジ」など諸説あり
ます。
庭木の楽しみ方
日向から半日陰を好む。多彩な花色で庭を彩る春を代表する花木
います。「続き咲く木」として、途切れることがないとして、縁
起の良い樹木です。
ユズリハ
ユズリハの花・実
5月~6月頃に花を咲かせる。その後に実が生り11月~12月頃に
実が熟す。
『若返り』『世代交代』『譲渡』
『若返り』『世代交代』『譲渡』の花言葉は、一斉に葉の入れ替
えが行われることから、この花言葉が付いたと考えられます。
ユズリハの誕生花
1月6日・1月11日
ユズリハの花の由来
ユズリハの花は新しい葉が出てから古い葉が全ての落葉します。
新しい葉に譲る様子を「譲葉(ユズリハ)」と名付けられました。
庭木の楽しみ方
日向~日陰でも良く育ちます。成長は緩やかですが、基本的に
は大きく育ててこそ観賞価値があります。植栽はある程度の場
所に植えた方がいいでしょう。新しい葉に譲る様子を「代々の
家督の継承」を思わせるとして、縁起の良い樹木とされていま
す。葉の軸が赤く、葉の裏側が白っぽいことから、紅白を思わ
せる縁起が良いとされて、正月に飾りとして使われます。
イチョウ
イチョウの花・実
4月頃に花を咲かせる。実は10月末~11月頃に熟す。
『荘厳』『長寿』『鎮魂』
化石と言われています。樹齢1000年以上の樹木がある事から、
この花言葉が付いたと考えられます。
『荘厳』の花言葉は、長きにわたり、生きるその姿が威厳があ
り、気高いとされて、この花言葉が付いたと考えられます。
イチョウの誕生花
10月26日・11月21日
イチョウの名の由来
「鴨脚(イアチァオ)」と呼ぶようになり、日本に入り「鴨脚(イ
アチァオ)」が転じて「イチョウ」呼ばれるようになった。
など諸説あります。
庭木の楽しみ方
日向を好むが耐寒性もある。恐竜の時代に栄えていた多くの裸子
植物も、現存するのはイチョウを含めてわずかな種類だけです。
中国原産のイチョウは室町時代には、 日本でも栽培されていたと
いわれ、木自体が大変燃えにくく、古くから建物を火災から守る
樹木として、神社仏閣に植えられました。「火災から家を守る樹木」
「長寿」の花言葉。、縁起の良い樹木です。イチョウは巨木なる為、
庭に植えるには剪定や管理が執拗です。
ヒイラギ
ヒイラギの花・実
10月~11月に白色花を咲かせる。5月~6月頃に紫黒色の実を
付ける
ヒイラギの花言葉
『用心深さ』『先見の明』『保護』
『用心深さ』の花言葉は、ヒイラギの葉には鋭い棘があります。
その棘で実を鳥などに食べられないように、身を守っています。
その様子から、この花言葉が付いたと考えられます。
『保護』の花言葉は、古くからヒイラギの鋭い棘が魔物や邪気
から守ってくれるとされて、この花言葉が付いたと考えられます。
ヒイラギの誕生花
11月8日・12月7日・12月25日
ヒイラギの名の由来
葉には鋭い棘があり、触ると痛いことから「疼ぐ=ひりひり痛む
」から転じて「ヒイラギ」と 呼ぶようになった。 など諸説ありま
す。
庭木の楽しみ方
日陰を好むが日向でも生育可能です。耐寒性もあります。古来よ
り邪気の侵入を防ぐものとして、節分の時に戸口に枝葉を差す風
習があります。家の庭には表鬼門にヒイラギを植え、裏鬼門にナ
ンテン植えると良いとされています。古くから縁起の良い樹木と
して、親しまれています。
まとめ
『縁起を担ぐ』や『げんを担ぐ』をした事ありますか?
『お金持ち』や『成功者』ほど『縁起を担ぐ』や『げん
を担ぐ』と聞きますが、確かに、私の得意先のお金持ち
や大きな会社社長といった裕福な人達は、縁起の良い庭
木などを、このんで植えます。
樹木にたいして、特別な考え方は日本だけでなく、世界
的に、ある樹木に『妖精』や『精霊』が宿るとして大切
にされているみたいです。