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樹木医師の、のんびりとした田舎暮らしの休日、其ノ八 八朔の木にマシン油散布と寒肥

 

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はじめに

上の写真はお爺さんが植えた八朔の木です。樹齢は約50年は経っています。毎年沢山の八朔がなり、毎年二月に収穫と剪定をしますが、今年はうっかり写真を撮るのを忘れてしまいました。来年にはブログで紹介したいと思います。

下の写真は去年収穫した写真です。一本の木から数えきれないほど穫れました。とても美味しく、みずみずしいので毎年近所の人達に食べてもらいます。

 

令和3年3月3日 今日は天気も良く、風も穏やかなので八朔の木に「マシン油」の消毒と「寒肥」をやりたいと思います。

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 下の写真は八朔の木に付いたカイガラムシです。去年、夏場の消毒散布の甲斐なく、越冬したとおもわれます。

このカイガラムシは「イセリアカイガラムシ」で古くからミカン類の重要害虫として有名で、新梢に群生した場合はすす病を併発し、樹勢が衰えるばかりでなく、枝を枯死させる厄介なカイガラムシです。

発生時期は年に2~3回の発生ですが、発生が不規則で年間を通じて見られます。特に6月、8月、10月頃が多くみられます。

防除法は被害木の少ない場合は、角ベラの様なものでそぎ落としますが、多発の場合は幼虫発生期の6~7月頃に、「スプラサイド」「カルホス」「スミチオン」「サリチオン」の各乳剤1000~1500倍液のいずれかを2~3回散布します。(中10日間あけて前回と異なる薬剤を散布します。)

また冬期の12月~3月頃に落葉樹15~20倍、常緑樹30~45倍液のマシン油乳剤を散布しておくと「カイガラムシ」「ハダニ類」「アブラムシ」「コナジラミ類」などの駆除が難しい害虫に効果を発揮します。

 

お爺さんの屋敷の八朔の木もすす病を併発て、毎年このカイガラムシに苦労させられます。

マシン油が効果があるのは分かっていても自分の家となるとめんどくさくなりつい忘れてしまい、暑くなってから後悔します。

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マシン油はその名のとうりマシン油が原料です。鉱物油などを由来する機械油に乳化剤を混ぜ合わせたものです。水で希釈して使用します。マシン油は、物理的に虫体を被膜、窒息させる薬剤で、体内に薬剤が到達しにくいカイガラムシや薬剤抵抗性(農薬が効かない)が出やすいハダニ類に効果があるとされています。

夏場に利用できるマシン油ものもありますが、この度は「キング園芸 マシン油乳剤」を使用しました。薬害が出る恐れがあるますので使う時期や回数などに注意が必要で、樹木の休眠期、春の新芽が出るまでに散布します。30倍で希釈して使用しましたが、水で希釈してもほぼ油といった感じです。散布する際は風が無い日、建物、など十分に気を付けて散布します。石灰硫黄合剤と違いマシン油は臭いは気になりません。

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薬液が付着し難い作物などには薬剤の効果を安定させるためには展着剤も使用しますが、我が家ということもあり、この度は展着剤は使用していません。

 今回はエンジン式の噴霧器を使用しましたが、使用後タンクの中が油まみれになります。使用後はタンク、ノズル内をキレイに洗浄し片付けます。私は食器洗剤をタンクに5㎎ほど入れて水洗いします。簡単にタンクが洗浄できますよ。

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 次は沢山の実をつけてくれたお礼もかねて寒肥をします。使う肥料は鶏糞とダイシストンです。お客さんのお宅では油かすを使用していますが、我が家では単価が安く、栄養バランスも良いの発酵鶏糞を使います。

鶏糞は、有機肥料の一種です。植物の生長に必要な、窒息、リン酸、カリウムがバランスよく含まれています。また、カルシウムやマグネシウムといった微量成分もたくさん含まれていることも樹木には嬉しい肥料です。植えつける時の元肥としても利用できます。特に野菜や果樹といった栽培期間の長いものに対して有効です。

ダイシストンもオススメです。ダイシストンは植物の根や葉から薬の成分が吸収され、植物体内に移行する薬剤です。葉などに移行した成分は殺虫効果を持ち、その葉を食害した害虫などに効果を発揮します。効果が持続する期間が約2カ月と長く作物の収穫が半年以降といった果樹、庭木には嬉しい薬剤です。害虫の退治だけではなく予防にも効果が期待できます。

鶏糞10ℓとダイシストン一袋の約半分と、大きく掘った穴に沢山、施肥します。

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上の写真は八朔の根っこです。肥料を入れる穴を掘っていると沢山「ひげ根」が出てきます。「ひげ根」は水分と栄養を吸収する大事な根っことされています。肥料を毎年施肥していない果樹や庭木は普通木の幹から数十㎝程に「ひげ根」はありません。「ひげ根」は根っこの末端にある根っこです。

何故、この八朔にはこの場所に「ひげ根」があるのでしょう。その答えは、施肥を入れる穴をあける際どうしても根っこを傷つけてしまいます。大きな根っこもシャベルで傷付けてしまうこともよくあります。お客さんが見たら、いい気はしないでしょうが、樹木は傷ついた根っこの切口から新しい「ひげ根」を沢山出します。施肥を毎年行うことで「ひげ根」が沢山でき樹木は元気になると言う事です。

また、有機肥料は化成肥料など、違い暖効性の肥料です。直接的根っこに肥料が施肥しても肥料負けを起こす心配もありません。

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後は土をかぶせて終了です。来年も沢山の実を付けてくれるでしょう。

 

まとめ

植木屋の世界では、寒肥にダイシストンなどを肥料と一緒に施肥しますが、ダイシストンは現在は製造されていません。「ダイアジノン粒剤(普通物)」、「バイジェット粒剤(劇物)」「フォース粒剤(劇物)」などが、この代替剤です。ただし、ペットなどを飼われているお宅などではペットが掘ったりしないように気をつけてください。また、樹木に元気がない時などは木の根っこを、わざと傷付けて樹勢を復活されるやり方もよく植木屋の世界では知られています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


 

一般家庭ではダイシストンの代替えでオルトランが使いやすいです。