樹木医師が教える、シンボルツリーとして、日陰で育つ中高木樹木
はじめに
樹木には、明るい日陰を好む種類。日陰でも耐える樹木もあります。
あきらめがちな日陰の場所を心が安らぐ庭にしてみませんか。
エゴノキ
・えごのき科の落葉広葉中高木
・花期5月中旬~6月中旬
栽培のポイント
水はけがよく、腐食に富んだところを好む。植穴には堆肥を沢山入れて植えつけます。
自然樹形の美しさがこの木の魅力です。剪定が少ないローメンテナンス。
春から初夏に白い小花を下向きにたくさんつけます。
サザンカ
・つばき科の常緑高木
・花期11月~12月:花色・紅・桃・白・複色
栽培のポイント
日向から半日陰が適地です。水はけがよく、有機質に富んだ肥沃な土地を好みます。
植穴には堆肥などをたっぷりとすき込みます。
自然樹形で整った形になるので庭に単植して楽しむほか、萌芽力が強いので、刈り込んだり、生垣になどにも使えます。剪定の適期は3~4月です。
セイヨウヒイラギ
・クリスマスホリー、ヒイラギモチ
・花期4~5月:実の観賞期11~12月
栽培のポイント
基本的には日向を好みますが、明るい日陰でも大丈夫に育ち、美しい葉色になります。
暑さに弱いので、暖地では西日を避け家の東側か北側に植えると良いです。
植穴には有機質肥料を施して植えつけ、植えつけ後は根元にピ-トモスなどを敷いて乾燥から守ります。
冬の光沢のある緑色の葉と、真っ赤実が人気。クリスマスでお馴染みの樹木。
ナツツバキ
・つばき科の落葉広葉高木 別名シャラノキ
・花期6月
栽培のポイン
根元に強い直射日光が当たらないところで、腐植質に富んだ土質を好みます。
自然と樹形は美しく整うので、剪定はあまり必要ありなせん。込み入った枝を冬に根元から切って間引くようにします。剪定が少ないローメンテナンス。
初夏に白い花をつける清楚な花木です。
ヤブツバキ
・つばき科の落葉広葉高木 別名つばき
・花期1~4月:花色・紅紫・桃・白・褐色
栽培のポイン
風通しのよいこころを選び、植穴に堆肥などをすき込んで植えつけます。剪定は花が終わった直後に行います。
日本で古くから庭木として使われてきた親しみ深い木です。ヨーロッパでも人気があり、世界三大花木の一つです。
ハウチワカエデ
・かえで科の落葉広葉樹 別名メイゲツカエデ
栽培のポイン
適質の地であれば土質はさほど選ばず建物の陰でも生育するが、紅葉を期待するには日当たりが望ましい。
植えつけ後3年ほどで小枝が密集してくるので、適宣、冬に間引き剪定をする。自然と樹形が整うので、剪定はあまり必要ではありません。ローメンテナンスな樹木。
イロハモミジ
・かえで科の落葉広葉樹 別名タカオカエデ・モミジ
栽培のポイン
ひどく乾燥しなければ土壌への適応力は高い。日陰では美しい樹形が楽しめる。自然樹形を楽しむなら、込み入った枝を冬に根元から切って間引くようにします。日陰に植えれば、さほど樹形が暴れないので、ローメンテナンスですむ。
シマトネリコ
・もくせい科の常緑広葉樹 別名タイワンシオジ
栽培のポイン
温暖な気候を好み、潮風に比較的強い。苗の植え付けは4月以降が無難で、若木のうちは防寒が必要。
自然樹形を楽しむなら、込み入った枝を冬に根元から切って間引くようにします。日陰に植えれば、さほど樹形が暴れないので、ローメンテナンスですむ。
水はけの悪い土地では葉が変色し、枝先から枯れこむ。
ソヨゴ
・モチノキ科の常緑広葉樹 別名フクラシバ
栽培のポイン
適湿でいくぶん湿り気のある環境を好み、強い乾燥では葉色が悪くなる。
植え付けは4月か梅雨どきで、堆肥を十分に施す。
玄関前のシンボルツリーとして使うと良い。
自然と樹形が美しく整うので、剪定はあまり必要ではない。剪定は、込み入った枝を冬に根元から切って間引くようにします。ローメンテナンスですむ。
モッコク
・つばき科の常緑広葉樹
栽培のポイン
本来は日当たり、水はけともに好むが、幼樹のうちはほかの高木の下生えとして育つため、かなりの日陰に耐える。
自然と樹形が美しく整うので、剪定はあまり必要ではない。剪定は、込み入った枝を根元から切って間引くようにします。ローメンテナンスですむ。
昔から庭木の王者と言われる。植え付けは3~6月。
ヤツデ
・ウコギ科の常緑広葉樹
栽培のポイン
湿り気味の適湿地を好む。暖地の明るい日陰が理想的。かなり暗い場所でも生育するが、葉が大きくなりすぎて、バランスが悪くなる。
剪定は古くなった下葉を切り取り、株元から発生する株を幹とのバランスを見て適宣切除する。ほとんど剪定の必要なし。
カクレミノ
・ウコギ科の常緑広葉樹
栽培のポイン
暖地の砂質
土では特に生育がよく、かなりの日陰に耐えるので、建物沿いの北側の目隠しや列植にも向く。
剪定は古くなった下葉を切り取る。背が高くなった場合は幹の途中でブツ切りしても芽が出る。剪定はあまり必要ない。
クロガネモチ
・モチノキ科 モチノキ属の常緑広葉樹
栽培のポイン
日向を好むが、半日陰でも育てることができる。大気汚染に強く、耐煙性、防火性に優れている。
冬期に赤い実を沢山付ける。花の少ない冬を彩る存在になる。
雌雄異株で、実が生るのはメスの木。
萌芽力が強く。自然樹形を楽しむには、毎年剪定をして、樹形を整える必要がある。
刈り込みにも耐えるので、刈り込んで樹形を整えても良い。
寒さに弱いため、冬期に葉を落とすこともある。関東地方が北限。
まとめ
ローメンテナンス・シンボルツリー ・日陰に的をしぼった樹木です。
日当たりの良い庭も素敵ですが。日陰の庭も工夫次第で素敵な庭になります。
京都では「うなぎの寝床」といわれ庭は中庭、坪庭ですが、日本を代表する素敵な庭ばかりですね。
あきらめていた場所にどうでしょう。