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樹木医師のトピアリーにできる木

はじめに

トピアリーは庭木を彫刻的に仕立てたものです。トピアリーに適した樹種は刈込に強く、枝が細くて多く、よく萌芽する木であればどのような樹種でも使えます。ヨーロッパではイチイとゲッケイジュが特に多く利用され、ツゲもよく使われます。スタンダードにはコニファー類、リンゴやナシなど、ツリーはコニファー類が適しています。日本ではイヌツゲ、ピラカンサが多く使用されています。

 

キンメツゲ

 

【日当たり】日向を好むが耐陰性が強い

【土壌・土質】水はけのよい肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】真夏と厳寒期を除けばほぼ1年中可能

栽培のポイント

イヌツゲの園芸品種であるキンメツゲはキラキラと輝くような新芽が美しく、萌芽力にすぐれた丈夫な樹木です。日陰にも強く、葉が密集し、樹形が崩れにくい特性があり、根が浅いので根元に西日が当たる場所では乾燥に注意します。刈込に強く、いろいろ仕立て方ができ、枝も若いうちはやわらかく、曲げてさまざまな形がつくれます。枝葉を密生させるには、日当たりの良い場所に、元肥に完熟堆肥を土にまぜ植えつけます。春から初夏かけて勢いよくのびます。形を整えるには年2回以上の剪定、刈り込みが必要です。6月上旬に1回目の深刈りをし、7月の梅雨明けの頃に2回目を行います。それ以降は、樹形を整えるための軽い刈り込みを行います。秋に強く、刈り込むと枝が枯れることがあるので、強く刈り込む場合は春先に行います。肥料は有機質肥料と暖効性肥料をまぜて寒肥を与えます。一般的に病虫害には強い樹種ですが、暖地ではハマキムシが発生することがあります。風通しの悪い場所ではカイガラムシの発生やすす病を併発します。スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

イヌマキ

【日当たり】日向を好むが耐陰性もある

【土壌・土質】土質を選ばないが、適湿で肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】植えつけと移植は3月下旬から5月上旬と梅雨時期が適期です。

栽培のポイント

イヌマキラカンマキはどちらもマキと呼ばれています。ラカンマキのほうが葉が細く短く、長さがそろい成長が遅いです。土質を選ばす、耐陰性があり、大気汚染や塩風など、悪条件の環境にもよく耐えて育てやすい木です。植えつけと移植は3月下旬から5月上旬と梅雨時期が適期ですが、十分に根づくりができていれば7月や9月下旬から10月中旬でも可能です。晩秋は避けます。大木の移植は、十分に根まわしをして行います。元肥に完熟堆肥を土に混ぜ植えつけます。最低1年に1回の整枝、剪定が必要です。刈り込みは真夏を除く3~10月頃の暖かい時期を選んで、数回行います。特に梅雨明けのころに刈り込むと、土用芽がよくのび、枝葉が密生します。1~2月に鶏糞や油かす、完熟堆肥などを寒肥として与えます。病虫害は少ないですが、4~6月、新葉にアブラムシが発生します。スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

ピラカンサ

【日当たり】日向を好む

【土壌・土質】土質を選ばないが、水はけのよいで肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】植えつけと移植は3~4月または9~10月が適期です。

栽培のポイント

鉢植えでも楽しめます。土に元肥として完熟堆肥をまぜて与えて植えつけます。生育がよく、放置すると樹形が乱れます。3~4月に強剪定をし、それ以外は飛び枝や徒長枝だけを剪定します。寒肥を1~3月中旬に油かすなどの有機質肥料を施します。鉢植えは3下旬~4月中旬と6月、9月に有機質肥料あるいは暖効性化成肥料を施します。病虫害はほとんど心配はありませんが、アブラムシやハマキムシが発生したら、スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

イチイ

【日当たり】日向を好むが耐陰性は強い

【土壌・土質】適湿で肥沃な土壌を好む。乾燥に弱い

【植えつけ時期】植えつけと移植は3~4月または9~10月が適期です。

栽培のポイント

まっすぐな幹から四方に枝をのばして円錐形の樹形に育ちます。樹形を整えるには数年かかりますが、一度仕立ててしまえば、その維持は比較的容易です。耐陰性がが強く、寒冷地でも生育しますが、日当たりの良い場所のほうが葉がよく茂ります。植えつけと移植は春の発芽前が適期です。移植はやや困難なので、根まわしが必要です。剪定は自然樹形では年に一回します。仕立て物や人工樹形では、年に2回、6月と9月頃に刈り込みを行います。刈り込みに強く、さまざまな形に仕立てることができますが、弱く刈り込みを行います。一度に深く切りつめると、樹勢の衰えを招くので注意します。寒肥として、1~2月に油かすや鶏糞などを施します。9~10月にチッソ分の少ない化成肥料を施すと葉のつやがよくなります。病虫害はほとんど心配ありませんが、ハダニやカイガラムシがつくことがあります。スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

ゲッケイジュ

 

【日当たり】日向から半日陰を好む

【土壌・土質】土質は選ばないが、適湿で肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】植えつけは4~6月が適期です。

栽培のポイント

土に元肥として、完熟堆肥をまぜて植えつけます。やや移植が難しい樹種です。移植する場合は根まわしを行い、寒中の移植は避けます。生育がよく、放置すると樹形が乱れます。3~4月に強剪定をし、それ以外は飛び枝や徒長枝だけを剪定します。1~2月に寒肥として、リン酸とカリを中心に暖効性化成肥料を施します。風通しが悪いとカイガラムシが発生し、続いてすす病になります。通風、採光をよくすると発生が抑えられます。また、スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

カイズカイブキ

【日当たり】日向を好む

【土壌・土質】比較的土壌を選ばない

【植えつけ時期】植えつけは3~5月が適期です。

栽培のポイント

日当たりの良い場所を好みます。土壌は選ばす、乾燥に強く、湿気のある土壌でも育ちます。また、大気汚染や公害、塩害にも強いです。苗木の植えつけは3~5月が適期です。移植は比較的容易ですが、巨木や老木では難しくなります。夏から秋にかけての移植は避けます。強剪定にも耐え、萌芽力があるので、いつでも剪定は可能ですが、強剪定するとスギのようにとがった葉が出ます。刈り込みは軽めに行います。寒肥として、2~3月に暖効性化成肥料を施します。追肥は6月ごろにやや少なめに施します。病虫害は少ないですが、さび病が大敵です。病原菌は、ボケ、カイドウ、ナシなどの植物がないと生育できません。これらの木の近くに植えないようにします。

 

ラカンマキ

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【日当たり】日向を好むが耐陰性もある

【土壌・土質】土質を選ばないが、適湿で肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】植えつけと移植は3月下旬から5月上旬と梅雨時期が適期です。

栽培のポイント

イヌマキラカンマキはどちらもマキと呼ばれています。ラカンマキのほうが葉が細く短く、長さがそろい成長が遅いです。土質を選ばす、耐陰性があり、大気汚染や塩風など、悪条件の環境にもよく耐えて育てやすい木です。植えつけと移植は3月下旬から5月上旬と梅雨時期が適期ですが、十分に根づくりができていれば7月や9月下旬から10月中旬でも可能です。晩秋は避けます。大木の移植は、十分に根まわしをして行います。元肥に完熟堆肥を土に混ぜ植えつけます。最低1年に1回の整枝、剪定が必要です。刈り込みは真夏を除く3~10月頃の暖かい時期を選んで、数回行います。特に梅雨明けのころに刈り込むと、土用芽がよくのび、枝葉が密生します。1~2月に鶏糞や油かす、完熟堆肥などを寒肥として与えます。病虫害は少ないですが、4~6月、新葉にアブラムシが発生します。スミチオン乳剤で早めに駆除します。

 

イヌツゲ

【日当たり】日向を好むが耐陰性が強い

【土壌・土質】水はけのよい肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】真夏と厳寒期を除けばほぼ1年中可能

栽培のポイント

櫛にするツゲ科のツゲとは違いますが、似ていることから、イヌツゲの名がつきました。萌芽力にすぐれた丈夫な樹木です。日陰にも強く、葉が密集し、樹形が崩れにくい特性があり、根が浅いので根元に西日が当たる場所では乾燥に注意します。刈込に強く、いろいろ仕立て方ができ、枝も若いうちはやわらかく、曲げてさまざまな形がつくれます。枝葉を密生させるには、日当たりの良い場所に、元肥に完熟堆肥を土にまぜ植えつけます。春から初夏かけて勢いよくのびます。形を整えるには年2回以上の剪定、刈り込みが必要です。6月上旬に1回目の深刈りをし、7月の梅雨明けの頃に2回目を行います。それ以降は、樹形を整えるための軽い刈り込みを行います。秋に強く、刈り込むと枝が枯れることがあるので、強く刈り込む場合は春先に行います。肥料は有機質肥料と暖効性肥料をまぜて寒肥を与えます。一般的に病虫害には強い樹種ですが、暖地ではハマキムシが発生することがあります。風通しの悪い場所ではカイガラムシの発生やすす病を併発します。スミチオン乳剤で早めに駆除します。

マサキ

【日当たり】日向を好むが耐陰性もある

【土壌・土質】土壌は選ばないが、特に海岸近くを好む

【植えつけ時期】植えつけは厳寒期を除く12~3月が適期です。

栽培のポイント

元肥として完熟堆肥をまぜて十分に耕し植えつけます。強健で萌芽力が強く、生長が早いので、6月上旬に一回と7月下旬に一回、萌芽にあわせて刈り込みを行います。春に油かすや化成肥料の混合物を、一株当たり2つかみ程度施します。病虫害は、春の新芽にケムシがつきやすいので、早めにスミチオン乳剤で駆除します。まれに梅雨時期にうどんこ病が発生することがあります。殺菌剤で数回駆除しますが、一回ごとに殺菌剤の種類を変えて散布します。

 

サザンカ

【日当たり】日向を好むが日陰でも育つ

【土壌・土質】適湿で肥沃な土壌を好む

【植えつけ時期】植えつけと移植は3月中旬から4月中旬が適期です。

栽培のポイント

耐陰性、耐潮性があり、大気汚染にも強く、刈り込みにも耐えます。植えつけと移植は3月中旬から4月中旬が適期ですが、6月中旬から7月中旬、9月中旬から10月中旬も植えつけと移植可能です。ポット栽培の苗木は酷暑、極寒期以外は植えつけが可能です。剪定は花後の3~4月上旬に行います。徒長枝を切りつめると、枝が充実します。寒肥として、2~3月に堆肥や油かす、骨粉を施し、花後と夏期に暖効性化成肥料を施します。病虫害はチャドクガの幼虫がよく発生します。かぶれやかゆみなどの被害がおよぼします。幼虫の発生に気づきしだい、葉ごと駆除しますが、被害が広範囲の場合は、スミチオン乳剤で駆除します。

 

まとめ

円柱形や円錐形の仕立物もトピアリーの一種です。金網、木などでフレームをつくり、ウサギ、トリ、仕立てたり、コニファー類をソフトクリームのように仕立てるのも面白いですね。