樹木医師のさし木は親木のクローンです!!
はじめに
奇麗な斑入りの葉。子孫を残すために、その樹木のタネをまいても、緑色のに葉に戻ってしまうか、分離してしまいます。それを残したい場合には必ずさし木、取り木、接ぎ木をしなければ、奇麗な花色、葉の大きさ、斑入の葉など、タネでは親の良い所が、残せないことが多いです。さし木は簡単に親の分身(クローン)が作れます。
【さし木】
さし木は、葉、茎、枝などの一部を切り取り、土にさしまったく根のない部分から発芽させ、親と同じ形質をもった苗木を、簡単に多くふやすやり方です。
『さし木の利点』
簡単にふやせます。植物の一部を切ってさすだけで、とくに技術は必要ありません。葉、枝、葉など、親木の一部を用いるの無性繁殖なので、親木と同じ性質のものをふやせます。さし木をするには、茎や枝の一部があればよいので、一度に多くの苗をふやせます。実生苗などに比べれば、開花、結実が早くなります。花が咲くようになった枝でさし木をすれば、翌年から花を咲かせてくれます。八重咲などの園芸品種で、種子のできないものでもふやせます。
【さし木の方法】
さし木をするために切り取った植物体の一部を「さし穂」といいます。
『葉ざし』
葉を切りっとてさす方法です。
『葉芽ざし』
一枚の葉とそのつけ根の芽、それにともなうわずかな茎をつけてさし 穂にします。
『枝ざし・茎ざし』
文字通り枝や茎をさし穂に用いるのです。
『根ざし』
根や茎をの一部を切り取ってさし穂に用いるもので、根伏せともいいます。
【さし穂の選び方】
さし木を成功させるには再生能力、発根能力が大きいさし穂を選びます。日当たりの良い場所で、よく生育した枝を選びましょう。一般的には古い木より、若い木から採穂したほうがよく発根します。
【さし床用の混合用土】
用土は通気性、排水性、保水性がよく、雑菌のない清潔な土を選びます。一般的には保水性のよい赤玉土や、通気性と排水性のよい鹿沼土などが使われます。ほかに、通気性と排水性のよい川砂、保水性と通気性のよいバーミキュライト、パーライトなどを混ぜた混合土を用います。容器は特に選びません。
【さし木をする適期】
さし木の適期は、さし穂の栄養状態や気温、湿度などの条件がよいときです。
『落葉広葉樹』
2~3月に前年枝をさす春ざし、6~9月初旬までに新梢をさす梅雨ざし、夏ざしが行われます。
『常緑広葉樹』
充実した前年枝をさす3月中旬~4月上旬の春ざし、新梢が固まった6~7月の
梅雨ざし、9月の秋ざしが行われます。
『常緑針葉樹』
新梢が動き出す前の前年枝をさす4~5月上旬の春ざし、7~9月に新梢をさす梅雨ざし、・夏ざしが行われます。
【さし木の管理】
さし木後は十分に水やりをして、明るい日陰に置きます。水やりは、さし穂がしおれない程度に行います。
植物の種類にもよりますが10日~1カ月くらいで発根してきます。目安は芽が動きはじめたころです。発根してきたら徐々に日に当てるようにします。
翌春の2~3月に移植します。
ツバキのさし木をしたいと思います。
採取した、さし穂は十分に水あげしておきます。
基部を、よく切れるナイフなどで斜めに切ります。
さし穂には、充実した部分をつかいます。15~20㎝の長さです。
先端の細い部分は用いないで、充実した中間部を用います。
上の葉3~5枚を残して、下葉は取り除きます。残した葉が大きいときは、半分くらい切り落とします。
さし床は鹿沼土・バーミキュライト・パーライト・ピートモスを等分でよく混ぜ、水を十分に含ませ用意しておきます。さし床に葉と葉が触れ合う程度にさします。
【さし木で増やせる植物】
『落葉樹』
アジサイ・イチョウ・エゴノキ・オウバイ・モミジ・カエデ・コデマリ・サクラ・サルスベリ・ニシキギ・ハナミズキ・ヤマボウシ・バラ・ヒメシャラ・ナツツバキ・フジ・プラタナス・スズカケノキ・ボケ・マユミ・ムクゲ・ヤナギ・シダレヤナギ・レンギョウ
『常緑樹』
アオキ・イチイ・キャラ・イヌツゲ・オリーブ・キョウチクトウ・キンモクセイ・クチナシ・ゲッケイジュ・コニファー類・ジンチョウゲ・ツツジ・サツキ・ツバキ・サザンカ・ナンテン・ピラカンサ・ブラシノキ・ベニカナメモチ・モチノキ・モッコク・ヤツデ・ユズリハ
『果樹』
アケビ・ムベ・イチジク・ウメ・ザクロ・ブルーベリー・
『観葉植物・鉢花』
アイビー・ガジュマル・カネノナルキ・クジャクサボテン・ゴムノキ・サンセベリア・シェフレラ・ジャコバサボテン・ジャスミン・ゼラニウム・ドラセナ・ハイビスカス・パキラ・ブライダルベール・ベゴニア類・ポインセチア・ポトス・ディフェンバキヤ・
『山野草・ハーブ』
キキョウ・ホトトギス・リンドウ・セージ・タイム・バジル・ミント・ラベンダー・レモンバーム・ローズマリー・