樹木医師の盆栽に魅せられて、其ノ二
【松の短葉法の発見】
黒松は昔、葉がながすぎて、盆栽としての魅力がなかったらしいです。
ある時、新芽が虫に食害されて、芽がなくなったらしいです。1ヶ月ほどたったある日、とれた新芽の後に二番芽が出て、そんままにしていたら、何とか秋に短い葉の芽ができました。
この偶然に誕生した、二番芽が盆栽に利用されるようになり、黒松は松柏盆栽に欠かせない存在になり、今では、多くの方が黒松の盆栽に夢中になっています。
黒松の盆栽に用いられる芽切り。庭植えの黒松に芽切りはしません(一部の地方を除いて)。一般的にミドリ摘みです。ミドリ摘みも今ではコスト面でおこなわない家庭が多いです。
その一部の地方とは、私が住む山陰地方です。確かに芽切りをすると、葉の短い、絵に描いたような黒松になりますが、芽切りをおこなった松は、秋の剪定がとても手間がかかります。
昔、先輩が芽切りをした松の剪定をしていて、面倒な手法をよく昔の人は発見したなと感心半分、面倒くさ半分に、そうに言っていたのを思い出します。
上の葉は短葉法の葉。下は短葉法していない葉(どちらも同じ松)
去年近くの海岸で採ってきた黒松。数本鉢植えにして、三本を畑で太らせ鉢に植えようと思います。気の遠くなる話です。
令和2年2月末畑の松1。
2月は大きな改作や針金かけの好期ということで。
2月末。黒松1 右の枝を次の真にしようと思い、芯の枝を切り改作。
切った芯は後にジン(自然に枯れてしまった枝)にしたいと思います。
4月中旬、強い芽はミドリ摘みしていまが、元気よく伸びています。
【芽切り】
4月中旬にはローソク芽が大きく伸びます。強い芽はミドリ摘みします。
・ミドリ摘み(芽摘み):強く伸びた芽を3分の1残して摘みます。
4月に入ると芽は大きく伸びます。同じ1本の木でも、樹芯部や枝先など、良く日の当たる芽は強く伸びます。ふところの芽はほとんど伸びません。伸びた芽を放置すると、強い芽に養分が取られて、弱い芽がますます弱くなります。
強い芽は途中で折りとりましょう。
・芽切り:6月、残した3分の1の芽、新葉が伸びます。7月に、伸びた芽を元から全部切り取る。
※ミニ盆栽の場合です。私の地方では、庭植えの黒松はミドリ摘みせず、5月中旬~7月の海の日までに芽切りします。
5月18日。芽が元気良く伸びていますが、下枝の方の古葉の色が悪いので、この松は一部、新芽を残しました。新しく真にしようと思う枝も残しました。
一番上の芽は残しました。残すことによって、幹が早く太ります。
2月末の畑の黒松2。幹元にある小さい芽を真にしようと思い、改造
。
5月18日 畑の黒松2
5月15日。こちらの松2も芽が元気良く伸びています。4月中旬、強い芽はミドリ摘みしていますが、元気よく伸びています
黒松2は、ふところの弱い芽を残し、芽切りを取ります。
一番上の芽と弱い芽を残し後は全部とりました。
元々寂しい芽の数ですが、いくぶんサッパリしました。
松2番 この芽は4月中旬にミドリ摘みしています。
松2番 芽切りしました。
松2番のローソク芽。この芽は4月中旬にミドリ摘みしていません。
松2番のローソク芽を根元で切ります。
2月末。畑の松3 少し針金で形づくりしました。
5月18日 畑の松3
4月中旬、強い芽はミドリ摘みしていまが、元気よく伸びています。
5月18日。こちらの松3も芽が元気良く伸びています。
弱い芽を残し後は全部、芽切りします。
元々寂しい芽の数ですが、いくぶんサッパリしました。
まだまだ松らしくないですが、来春は鉢植えにしようと思います。
庭植えの松はヤセづくりといい、水、肥料を控えて育てると言われていますが、それは葉の長い松を嫌い言われていたと思います。
芽切りをすると、松に負担がかかり弱ります。庭植えの黒松も毎年芽切りをおこなうと芽の出が悪くなります。芽切りをおこなうなら、水、肥料はたくさんあげる必要があるということですね。
今年畑から持ってきて、鉢植えにした黒松です。
様子を見て、6月か7月に芽切りをしようと思います。
毎日2回の水やりと肥料はやっています。